3度目の正直で書類審査を通過した学生たちは、「やっと念願のロボットコンテストに出場することができ、うれしいです」「夢に見たロボコンへの出場、今までの努力が報われました」と、喜びの声を上げています。今後は、3月末にルールの説明会とロボットに使われる特殊ボードの研修会があり、神戸サンボーホールにて7月5日、6日に競技会予選、8月8日〜10日に競技会本選が行われる予定です。
「自分たちが切り開いたロボコンへの道を後輩たちにも引き継ぎたい」と後輩たちに参加を募ったところ、集合場所の情報実習室に、入学したばかりの1年生を含め約20名の後輩たちが集まってくれました。早速、新メンバーたちにこれまでの経緯やレスコンの概要、「桃太郎」のパフォーマンスについてのブリーフィングがおこなわれました。チーム「桃太郎」の新メンバーたちには、ロボットのパーツや基盤などの製作を担当してもらう予定だそうです。さて、どんな「きび団子」がもらえるのでしょうか・・・
精悍な「カブトムシ」を連想させる特徴的な頭部の2本の突起は、クレーンのアーム部とそれを駆動する変形ギヤ。透明なボディが少しキャシャなイメージですが、「これからたくましく成長します」と設計担当の西島さん、「実際に動かしてみると問題もあって再度設計中です」とのこと。ともかく「形」が見えたことでメンバーたちの気合にも拍車がかかったようです。予選本番まで残すところあと1ヶ月半、メンバーたちの長い一日は続きます。
写真/上:最後の課題となったダミヤン収容用ベッドの機構についてアイデアを披露する山内さん(3年生)。後ろの壁には「四川省大地震」の切り抜き記事が並ぶ
この日、作業場の隅で隠れるように何かを作っている様子の3号機担当の針原さんを発見。そっと覗き込むと「これが幻の3号機か!?」 サイズは1・2号機と同じだが車高が随分低い。ガレキ除去用の2本のアームは前方中央に配置されクワガタのメスのイメージ。車体上部には1・2号機とは全く異なる複雑な機構が・・・ 「一体これは?」、ダメモトで作業中の針原さんに訊ねると、「たいしたことないスよ」と、アッサリ3号機の仕組を教えてくれたが、話の設定上、今日は内緒にしておきましょう
チーム「桃太郎」の救出用ロボットのロボットハンドには、空気の力でやわらかな動きを可能にするゴム人工筋が採用されています。これは福祉ロボットにも利用されているもので、救出時の人形に与えるダメージを配慮したもの。メンバーたちもこの部分の調整にはかなりの時間を費やしていました。
これで製作作業は一応終了。残る一週間はひたすら実戦練習の日々に当てられる予定です。ロボットに搭載したカメラからの映像を見ながらの遠隔操作で、「距離感をうまくつかめるかどうか、それが予選突破のカギ」(赤木先生)になりそうです。
写真/左:チームを代表して取材に応えるキャプテン上田さん。「これまでに培ったチームワークをフルに発揮して予選を突破したい」と抱負を語る/06.27
写真/上:激しい練習の合間に、破損した愛機の応急手当をする西島さん。設計中に見せていた「苦悩」の表情はすっかり消え、今はパイロットたちに猛特訓を課す「鬼軍曹」と呼ばれる。「苦心して設計したロボットのポテンシャルを最大限に引き出してほしい・・・」そんな祈るような気持だろう 右上:モニターとマニュアルを見ながらフィールドの1号機(写真上部)を操作するサブパイロットの堂阪さん。ちなみに1号機のパイロットは藤川さん、2号機はキャプテン上田さん、3号機は針原さんだが、彼女がとって代わるかも・・・ 右下:無事ダミー人形を救出!とはいかなかった。目測を誤りアクチュエーターのツメ(赤い部分)がダミヤンの腕に・・・これは減点対象になるらしい。「ダメージを与えないこと」が基本
今も作業を続けているのは、製作のながれさんと大家さん。予選でパワー不足を露呈したガレキ除去アームやロボットハンドの改良、テストランでチームを手こずらせた「豆腐のような感触で頭部がズシリと重い」練習用ダミヤンの製作に当たっています。
ロボットの改良の方も順調に進んでいる様子。パワー不足の「ガレキ除去アーム」は、モーターから空気圧駆動に変更されパワーアップに成功、「(重い)屋根型ガレキも吹っ飛びますよ」と製作のナガレさんは自信満々。 ロボットハンドは、アクチュエーターの配置をタコ足型からムカデ型に大転換(予定)。改良に必要な部品もようやく到着し、急ピッチで組立がおこなわれてます。来週には新ロボット、新コースを使った練習が再開される予定です。